この医師夫婦の家は、日本海側に面する金沢市の北東約40km、能登半島西部に開けた平地に展開する田園都市、羽咋市にある。田んぼに囲まれた医院に隣接する1050㎡の土地に両親の家、倉庫、駐車場、菜園がすでに配置されていた。
photo:T. Sakashita建築設計とガーデニング(造園外構設計)を一体とした環境設計である。庭は住居に浸透し、住居は庭に浸透する。この環境に棲息する生物(植物、動物=人間もそのひとつである)さまざまな主体がそれぞれのテリトリーを確保し、それぞれ異なる時間と空間の自律した秩序が、それに応じたさまざまな大きさのニッチとして相互を織り込み、応答し、多元的そして有機的なリズム(ポリリズミックな時空間の周期性)を敷地全体にもたらす。
すなわち、この建物は(自然の中に生きる)人体という、多数性を帯びた複雑多様な環境系そのものを、そのモデルにしている。
眠れるヘルマフロディトス ギリシャ(ローマ時代複製)