所 在 地:神奈川県横浜市
BankART 1929内
延床面積:約66.5m²
使 用 者:芸術家、文筆家
設計監理:中谷礼仁
施工:吉川の鯰
「テキスト生産の場としての宿泊設備を生産する」
原稿に集中できぬ文学者をホテルに幽閉し、なかば強制的に原稿を仕上げさせる、編集者の用いる術策を缶詰というが、缶詰されれば原稿が書けるというものではないというのが、当然、物書きの言い分であり、当の缶詰の場となる宿泊設備経営者および設計者の言い分である。缶詰すなわちテキストに集中できる空間とは、俗世の時間(空間)を離れ、別の時間が生み出される、それ自体がテキスト足りうる空間なのであって、そこで、はじめて缶詰の中は缶詰の外 を超えた広がりを持ち、幽閉された作家たちは幽閉された事実をも忘れ、テキストへと解放されることができる。建築史家および若い棟梁とともに、こうした缶詰=テキストとしての(生成する)空間設営を試み、完成後、実際に作家がそこに缶詰になり、仕事をする。仕事の充実に応えるだろう、充実した朝食だけを楽しみに。
外部リンク:甲羅ホテル KHORA