クルは道に迷ってしまった。どちらを向いても荒っぽい岩山ばかり。ひもじくて水が飲みたくて(カツテモ老人ガ水ヲ飲ミタクテ若イトキコノ島ニ来タママ五十年モ井戸ヲ見守ッタトイウ)、クルは疲れ、うたた寝をする。その間に井戸から水、誰も見ていないけれど、落葉が濡れている。茨の生えたところには薔薇が。不毛の荒地には蜜蜂、危険な道にも草木、断崖には川が流れ、正しきヒトは怒りの声をあげる。痩せ土からも泉は湧く。
2019│Acrylic, canvas│160×260×6.7cm Private Collection