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『TOPICA PICTUS とぴかぴくたす』

2020年3月から6月にかけて、岡﨑乾二郎はアトリエに篭り、150点強の作品を集中的に制作しました。そのうち138点を収録した画集が刊行されます。

その一部は、東京国立近代美術館ほかで順次公開されますが、全貌が一挙に見渡せるのはこの画集となります。表紙はクロス布貼り、『視覚のカイソウ』を凌ぐ高解像度で、実物大掲載も含む、精緻、かつ力のこもったurizenの全力を投入した画集です。


右:『視覚のカイソウ』と同判型。クロス布貼り、さらに重厚、濃密な一冊。

 




TOPICA PICTUS とぴかぴくたす について
岡﨑 乾二郎

絵画を類的存在として考えれば、絵画はどれも絵画であることにおいて同じ、とみなされもしよう。であれば、個々の絵画をなお制作しなければならない切実な動機も失われてしまう。人間という類に人という存在を還元してしまうと、個々の生のかけがえなさが失われてしまうのと同じである。

つまり個々の絵が制作されなければならないのは、それぞれが類的存在としての絵画を超えた固有の問題=主題を抱えているからである。世界にさまざまな場所があり、無数の考えるべき問題=トピックがあるように、絵画はそれぞれ固有の問題、特別の場所に向き合って制作される。けっして他に換えることができない切実さがそこにある。(個々の絵を固有なものとして現前させる問題は無数にある、そしてこの無数の固有な場所、独自な問題のネットワークがこの世界を編み上げている、だから世界を一つの時間、空間に括ることは決してできないだろう。ゆえに世界は決して終わらない)。

2020年の3月からアトリエに籠り、いままでになく集中し作品を制作した。絵画の制作とはその都度、異なる固有の場所を引き寄せ、そして探索することである。絵画が絵画でしかないこと、つまり絵画は絵画をおいてどこにも行けない、その条件に留まることがかえって絵画を通してどこにでも行けること、つまり絵画がなおそれぞれ固有の絵画でありうることの可能性であったことを強く実感した。




TOPICA PICTUS とぴかぴくたす

著=岡﨑乾二郎
寄稿=中村麗、ぱくきょんみ
■発 行:有限会社urizen
■発 売:株式会社ナナロク社
■定 価:4,000円(税別)
■発行日:2020年8月30日
■頁 数:120頁
■ISBN:978-4-904292-96-9 C0071

販売は一般書店、関連画廊ほか。
また、近日オープン予定のwebストア「urizen store」でもオンライン予約を受付けます。
詳細はいましばらくお待ちください。

About The Artist

造形作家。武蔵野美術大学客員教授。 1955年東京生まれ。1982年パリ・ビエンナーレ招聘以来、数多くの国際展に出品。総合地域づくりプロジェクト「灰塚アースワーク・プロジェクト」の企画制作、「なかつくに公園」(広島県庄原市)等のランドスケープデザイン、「ヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展」(日本館ディレクター)、現代舞踊家トリシャ・ブラウンとのコラボレーションなど、つねに先鋭的な芸術活動を展開してきた。東京都現代美術館(2009~2010年)における特集展示では、1980年代の立体作品から最新の絵画まで俯瞰。2014年のBankART1929「かたちの発語展」では、彫刻やタイルを中心に最新作を発表した。長年教育活動にも取り組んでおり、芸術の学校である四谷アート・ステュディウム(2002~2014年)を創設、ディレクターを務めた。2017年には豊田市美術館にて開催された『抽象の力―現実(concrete)展開する、抽象芸術の系譜』展の企画制作を行った。 主著に『抽象の力 近代芸術の解析』(亜紀書房 2018年)、『ルネサンス 経験の条件』(文春学藝ライブラリー、文藝春秋 2014年)、『芸術の設計―見る/作ることのアプリケーション』(フィルムアート社 2007年)。『ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ』(絵本、谷川俊太郎との共著、クレヨンハウス 2004年)。 『抽象の力 近代芸術の解析』にて、平成30年度(第69回)芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)受賞。