「これで顔の泥をぬぐえ」最初になげられたクッションは彼にあたらなかった。次のクッションは彼の泥まみれの顔に、山腹を見上げている顔に命中した。クッションは次から次へと投げられて泥の上に散らばった。土地の人たち総出で投げている。何かが胸につかえて咳き込んだ。考える必要も、思いだす必要も、どんな必要ももうないよ。みんな置き去りにしてきな。シャンペンのボトルを投げた者がいた。「ありがとう。文句も言わずに運んできたのだから、これぐらいのものは飲む資格があるね」。それを見て、こどもたちが、牛みたいに喉の肉がたれ下がってらあ、と大笑いした。

1997アクリル、カンヴァス180×220×6cm
個人蔵

「これで顔の泥をぬぐえ」最初になげられたクッションは彼にあたらなかった。次のクッションは彼の泥まみれの顔に、山腹を見上げている顔に命中した。クッションは次から次へと投げられて泥の上に散らばった。土地の人たち総出で投げている。何かが胸につかえて咳き込んだ。考える必要も、思いだす必要も、どんな必要ももうないよ。みんな置き去りにしてきな。シャンペンのボトルを投げた者がいた。「ありがとう。文句も言わずに運んできたのだから、これぐらいのものは飲む資格があるね」。それを見て、こどもたちが、牛みたいに喉の肉がたれ下がってらあ、と大笑いした。

1997アクリル、カンヴァス180×220×6cm
個人蔵