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2006
│
アクリル、カンヴァス(
2
枚組)
ベネッセアートサイト直島
ポプラの涙を拾い集めれば金持ちになれるのに
2006
│
アクリル、カンヴァス(
2
枚組)
ベネッセアートサイト直島
「ポプラの涙を拾い集めれば金持ちになれるのに、わざわざ水の流れに逆らって、船を漕ぎ出したりすると思うかい?」。耳に聞こえる音楽よりも聞こえない音楽のほうが、はるかに甘美なものである。その言葉とおり、エリダノス河畔のポプラの木は琥珀を滴りつづけている(弟を悼んで嘆きつづけた姉はポプラに変えられ、今も、涙を流している)。水夫たちはそう信じ込んできました。けれど、もう二、三分間もたてば彼らも此の世にはいない。その間際になっても(水夫たちにとって)琥珀はたしかに琥珀である。それは千年たっても変わらない。「凪いだ海は人の想いをひきよせるが、凪から熟練した船のりは決して育たない」。仰るとおり、海に近づいたこともない少年が今、小石を拾い上げ波の上をはずませている。「何で躊躇う?水中にあるものは透きとおって見えるものと同じ大きさに思えるけれど、光の具合でいつだって歪んで見えるものなのに。」波間に声が現われ、また消える(薄暮の光を受けた肩だけ乳白に鱗のように輝いている)。そして「助けて」という声。とうとう少年は着ているものをすべて脱ぎすててしまう。ずっとそこに(いないはずの)彼女の顔が見えていたのです。