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photo: Shu Nakagawa
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2019
│
アクリル、カンヴァス(
2
枚組)
作家蔵
靜かな場所だった。聴こえているのは存在しない音楽。
2019
│
アクリル、カンヴァス(
2
枚組)
作家蔵
靜かな場所だった。聴こえているのは存在しない音楽。賑やかなのはわたしの耳のせい。波止場のざわめきは遠く、しとやかに聴こえる。まごまごしてここに迷い込んだ。眩しい光。こまごました磯の香り、イナサの風。あの島に行くつもり?舟の名は?アイオロス、一緒についていくさ。小さな鳥は北のほうから海上をかなり低く飛んできた。舟のへさきに止まった彼女はずいぶん疲れている。「旅ははじめてかい?」言葉が伝わるよりも速く鳥は飛ぶ。言葉が消えぬ間に波は静まり太陽も戻ってきた。わたしはもう夢を見ることはない。けれど瞼の上に鳥が飛んでくる。青空にみるみる白い雲が棚引き、朗々たる声がはらはら雪のようにふってきた。「あの歌は誰が歌っているの」。砂浜にライオンがいる。「きみは幾つ?」ライオンは微笑む。ごらんなさい、ごらんなさい、わたしは幸せです。いつも挨拶を交わしていたけど、話をしたのははじめてなのです。