青い胡桃、酸っぱい花梨、吹きとばせ。わたしの口にもう水分はなく、わたしの舌は吹きかけられた言葉の火の中で蠟燭のように溶けていました。そのあと六十五回も居眠りをしたので、自分の頭蓋のうらを舐め、意識の内側に滴り落ちる雫の甘さを識ることができたのです。どぅと風が霧を裂き、さっと日の光が射し、草からきらきら雫が落ち、すべて葉も茎も花も多様な姿かたちを満たしているものはみんな一つの完全なる甘露でした。
2017│アクリル、カンヴァス│160×260cm