「では、お返しに手で君の背中を撫でてあげる。」ところどころ毛の抜け落ちたその猫は、何に目をくれることもなしに、ただただその子の匂いに魅かれて鼻先をこすりつける。その鼻はとても小さく柔らかい。子どもの額は美しく確かに指をひろげた尋さはあった。決して発育不全ではない。
1994│アクリル、カンヴァス│180×210×8cm 作家蔵