空気よりも軽くて上へ上がるから、なんとなく逃げてもしまいそうでしょう。だから逃げないように紐でくくっておきます。ブランコの綱をよじってから放すと綱がほどけるにしたがって、世界全体がぐるぐると回るでしょう。そこで、わたしは、ひなげしがそよ風になびいているところを想像するのです。するとひなげしとわたしの眼の中心が一緒に振動しはじめます。花を見つけたらどこでだって撫でておいて下さいね。

死んだ人間だってよみがえる見込みがあったら、時や場所を選ばんでしょう。ましておれは体じゅう骨だったようなものさ。どの動物がどの経験をしたかなんて、まったくおかまいなしに、突然変異は気まぐれにおこるというよ。それで、あひるのように泳いだのさ、おれは泳げるんだってね、思いこんでね。人間さまの骨格はご先祖の骨格とそんなに変ってはいないもんさ。野菜ばかり食べてちゃ骨を作る成分がとれないよ。