これは首輪の痕。だれも気づいてはいないけれど。小さな兄弟!おれはヒトの世界で生まれ、母はヒトの世界で死んだ。王たちの住む大きな檻の中で。あのばかばかしい錠など、前脚の一撃で壊すことができたのに。足に刺さった棘が抜けない子ウサギみたいに、小さな兄弟!豹は豹であって慰みものじゃない。だから殺したりはしないよ。生きて、一緒に狩りをしよう。自分で樹に登って採った蜂蜜や木の実は、生肉と同じぐらいうまい。そうだ!いつだって空きっ腹をかかえてるんだ。(ジャングルブックより)お前が小さな裸の子だったとき、おれもヒトの間で生まれた。一度もジャングルを見たことはなかった。ヒトは檻の向こうから鉄の皿で生肉を食わせてくれた。おれはある晩ふと悟り、だからそこを去った。ヒトのやり口を学んでいたから簡単だった。そうだろう?お前は茶色の熊。木の実と木の根っこと蜂蜜しか食べない、好きな場所に行き来できる熊。(ジャングルブックより)